釈尊降誕説話への批判(拝啓 平田篤胤先生10)
前回の記事は、「篤胤の釈迦族論」を論じたのだが、今回は、「釈尊降誕説話への批判」と題して、いわゆる「摩耶夫人の右脇から生まれた」とか、「天上天下唯我独尊と言った」に見るような、まさしく非合理的内容で語られる釈尊降誕説話に対して、篤胤がどう評したのかを見ておきたい。扨この者生るゝ時に母の右の脇から生れ出、うまれると直にみづから七足あるいて、右手を挙げ天を指し左手を下げ地をさし師子吼をたしたと云ことでござる。この師子吼と云は何のこともなく産声の事と見へるでござる。然るをまた此師子吼に文句をつけて、我於一切天人之中最尊最勝。無量生死於今尽矣。此生利益一切天人と吼たともあり。又一説には天上天下唯我独尊と吼たともあるでござる。この生ると直にあるいたり手を指上たり何かして吼た事は、何の経にもいつてあるが、実にこんなことのあ...釈尊降誕説話への批判(拝啓平田篤胤先生10)