出家した僧侶の呼び方について(義浄『南海寄帰伝』巻3「十九受戒軌則」の参究・11)
11回目となる連載記事だが、義浄(635~713)による『南海寄帰伝』19番目の項目に「受戒軌則」があり、最近の拙ブログの傾向から、この辺は一度学んでみたいと思っていた。なお、典拠は当方の手元にある江戸時代の版本(皇都書林文昌堂蔵版・永田調兵衛、全4巻・全2冊)を基本に、更に『大正蔵』巻54所収本を参照し、訓読しながら検討してみたい。今回は、出家した僧侶の呼び方について見ておきたい。然るに西方の行法、近円を受けて已去て鐸曷攞〈訳して小師と為す〉と名づく、十夏を満つるを悉他薛攞〈訳して住位と為す〉と名づく、依止を離れて住するを得たり、又た、鄔波駄耶と為ることを得る。凡そ書疏の往還有るには、題して求寂某乙・小苾芻某乙・住位苾芻某乙と云う。若し其れ学、内外に通じ、徳行高く著くときは、便ち多聞苾芻某乙と名づく、僧...出家した僧侶の呼び方について(義浄『南海寄帰伝』巻3「十九受戒軌則」の参究・11)