戒定慧(其の四)(指月慧印禅師『荒田随筆』参究21)
江戸時代の洞門が輩出した学僧・指月慧印禅師の主著である『荒田随筆』を学ぶ連載記事であるが、今は「戒定慧」という一章を学んでいる。早速、本文を見ておきたい。定、謂く、空有辺中の徳用義相に随い、多種の名を分つと雖も、克して那伽定王三昧に帰す。一切の三昧、皆な此の中に入る。所謂、諸仏の定法、直身跏趺坐のみ。諸法、畢竟、寂爾湛然、繊塵を蕩して、内に住守の心無し。大虚を包で外に馳驟するの境無し。蘊界入に於いて不動不覚。然而、諸法をして畢竟、去来・起住・言語等の累無く、生死・涅槃・迷解の知無きこと、一味に真実ならしむ。故に心意識の分別すべき、凡聖路の格すべきに非ず。垢浄増減の途を離れて、是虚空住なり。健相堅固にして、龍蟠の屈するが如し。勤はらざるして而も物現す。其現こと、也た疑わず。日月の空に処するが如し。一多の言思、大小...戒定慧(其の四)(指月慧印禅師『荒田随筆』参究21)